この記事はバイオリンを演奏して生計を立てている、とあるバイオリニスト(@violin18media)が自身の経験談を元に作成したものです。
この記事を読むことで小野アンナバイオリン音階教本の正しい使い方がわかります!
Contents
小野アンナバイオリン音階教本の使い方を知るメリット
小野アンナバイオリン音階教本の正しい使い方知ることによってどんなメリットがあると思いますか?実は正しい使い方で小野アンナバイオリン音階教本を練習すると必ず上達することができます。
そんなあなたは正しい方法で音階の練習をすることを絶対オススメいたします。曲が弾きたくてバイオリンを始めたのに音階?と思うかもしれませんが世の中の音楽は全て音階によってできており、その音階の並び方のパターン、リズムなどが組み合わさって音楽が出来上がっています。ですから、全ての調の音階を叩き込む必要があります。逆に言えば、全ての調の音階パターンを取得すれば極論どの音楽でもどの調でも弾けるようになります。
音階練習こそバイオリン練習のための大切な基礎です。厳しい言い方ですが音階が弾けない人は何も弾けません。
つまり小野アンナバイオリン音階教本の正しい使い方知ることによってどんな曲でも弾けるようになってしまうのです。まずこの音階練習の準備として、必要な物をみていきましょう。
本当に正しい小野アンナバイオリン音階教本の使い方は、とても辛抱の必要な練習です。これが全てマスターできれば大半の曲は弾けるようになりますが、大半の人がマスターする前に音階練習を諦めてしまうのが現状です。
この先の記事は本気でバイオリンが上達したい、厳しい練習にも挑戦してみたいと思える方のみご覧ください。
音階練習に必要な物は?
教材:小野アンナバイオリン音階教本
いうまでもないですが、まずは小野アンナバイオリン音階教本を用意しましょう。
小野アンナバイオリン教本は、1stポジションをきちんと弾いたあと2オクターブを弾き、それができたら3オクターブ、そして重音など、指の場所、形をしっかりと覚えていく教本になっています。
上達している人はみんなカールフレッシュのスケールシステムを使うと聞いて、いきなりカールフレッシュを使用するなどは間違っても絶対にしてはいけません。カールフレッシュは、本記事での音階練習を全てマスターして、さらなる高みを臨む人のための教本だからです。絶対に小野アンナバイオリン教本から始めるようにしてください。
メトロノーム
メトロノームは本記事の練習方法では必ず準備しましょう!毎日使う物ですし、チューナーが付いていると調弦もできるのでオススメです。スマホのアプリでも「メトロノーム」といったキーワードで探すとありますので、そちらで代用もOKです。
私が使用しているのはこちらです。
譜面台
譜面台も必ず準備しましょう。理由は譜面台に楽譜とメトロノームをおいて練習しなければ、姿勢が悪くなり構えが崩れ、余計なところに力が入る可能性があるからです。
家以外でも使用する可能性があるならば、持ち運びができる折り畳み式で軽い物が良いです。この600gの物は、室内楽で譜面台を持っていかなければならない時など重宝しています。
大きめの鏡
自分のフォームを確認するために、鏡も必須です。ボーイングの動きを確認したいので幅が広めだとなお良いです。鏡がない方は、夜自分が写る窓や、パソコンの画面などでもOKです。
上達する音階練習の方法
1.立ち方
座って練習してはいけません。座ることで上半身がねじれたりバランスが崩れるからです。プロのオーケストラ奏者でも、長年座って弾くと楽器を弾く上での様々なバランスが崩れてしまう為、自宅で立って鏡をみながら調整している人がほとんどです。
まず肩幅程度に足を開きます。そして両足がしっかりと床を捉えている(足の裏がしっかりとついている)のを確認します。
重心は前すぎても後ろすぎてもいけません。その場でジャンプして着地した時にくる重心が一番あなたの自然な重心位置ですので、バイオリンを構えた時も必ずその重心をキープしてください。
2.構え方
構え方は、力を抜いてただ自分の肩に載せるだけという意識を強く持ってください。決して左手で握ったり、顎で力を入れて挟んだりしてはいけません。体型は人それぞれです。試行錯誤して自分が一番自由に自然に構えることのできる持ち方を身に付ける必要があります。
右手に関してもコントロールが効かなくなりますから、絶対握りすぎてはいけません。
構え方に関しては、たいていの人が「自分はできているな」と思いがちですが、ほとんどの人が、力みすぎています。今一度鏡をみながら本当に力が入っていないか確認してみましょう。
3.Gdur1音4拍から。9つのチェックポイントを確認
いよいよ音階です。小野アンナバイオリン教本の「Scales within the First Position」のページを開きます。このページは1stポジションのみで弾けるページですので一番優しいです。
そして#が1つしか付いていない一番下のソから始まる調を選び、メトロノームを60に設定します。
そしてピッピッピッピと4回なる間最初のソの音を伸ばします。
開放弦ですのでどっちにしろビブラートはかけられないと思いますが、違う音になっても絶対ビブラートはかけません!
4拍分伸ばせましたか?ここで大切なチェック項目があります。以下のチェック項目を確認してみましょう。
- 音が膨らんだりしぼんだりしていないか
- 弓の圧力は一定で元弓から弓先まで弾けているか
- 力任せではなく自然な腕の重さが弓に伝わっているか
- 音程は正しいか
- 鏡でみた時に弓が曲がっていなかったか
- 楽器は鳴っているか
- 汚い音は鳴っていないか
- 右手の小指が突っ張っていないか
- 右手の親指が真っ直ぐになってしまっていないか(関節が曲がっているか)
上記9点のポイントは必ずチェックしてください。そしてできていない項目があれば必ずできるようになるまで何度も練習してください。
特に難しいのは弓の圧力を一定にすることでしょうか。弓の圧力は弓元と弓先では張力に違いがありますから右手でコントロールする必要があります。
まだソの音を4拍伸ばしただけですがこんなにも気を付けなければならないことが山積みなのです。それぐらいボウイングは奥が深いものです。このチェックポイントを考えなくてもできるようになるまで繰り返し練習します。
と思っても要注意です。もしかしたら自分の耳が弓の圧力が変わってしまっているのをしっかりと聞けていないために気づけていないだけかもしれません。自分の弾いている音を聴くのは想像以上に難しいことです。
過信せずに、スマホなどで自分の演奏を録音・録画して上のチェックポイントをしっかりと確認することをおすすめします。
1音完成したら次はラ。ラができるようになったらシという具合に、最終的には1音を4拍伸ばすやり方で楽譜通り、下のソから上の音まで上がってまた下の音まで戻ります。
この練習では音程を聴く時にチューナーを使ってはいけません!なぜならチューナーに頼りきりになってしまい、自分の耳を使わなくなってしまうからです。またチューナーの音程は機械的な音列の響き(平均律のような)になりがちですので自分の耳で聞いた綺麗な響きを目指すことが重要です。初心者の方などで音程がわからない方は最初だけ使って、わかるようになったら使うのを辞めましょう。
音程の取り方に関しては詳しい記事がありますので、そちらも合わせてご覧ください
4.次は1音2拍。5つのチェックポイントを確認
1音4拍ができるようになれば、次は1音2拍を練習します。
これはメトロノームのピッピッピッピの、2回鳴る間はソの音、次の2回はラの音を弾きます。つまり先ほどは一弓に1音でしたが、今度は一弓に2音弾くことになります。
この時注意すべきは先ほどの9つのチェックポイントに加えて
- 音が変わるたびに右手に影響がでていないか
- 音が変わる時に身体が動いていないか
- 音が変わる時に弓のスピードが変わっていないか(一定にすべき)
- 左手のおさえていない指も指板の真上で待機できているか
- 左手2番の指をおさえている時も1も一緒におさえられているか(4の指を抑える時は全ての指を指板から離してはいけません)
という点に注意する必要があります。
盲点になりやすいのですが、左手のおさえていない指が指板から離れすぎてはいけません。必ず、指板の抑えるべき場所の真上で待機する必要があります。そうすれば左手が最短距離でおさえることができる為、速い曲になっても難なく弾くことができます。また5のチェックポイントのように必ずおさえ終わった指もおさえたままにしておきます。2の指の音を出す時は1の指はおさえたまま、3の指の音を出すときは1と2の指はおさえたままという状態にしておく必要があります。また上から降りてくる時も同様ですので、4の指の時に全ての指を正しい位置でおさえなければなりません。
繰り返しになりますが、この時も過信せずに、スマホなどで自分の演奏を録音・録画して上のチェックポイントをしっかりと確認することをおすすめします。
4.次は1音4拍そして4拍に16音入れるまで
それができたら次は1音に4拍入れます。つまりピッピッピの音と同じタイミングで音を変えていきます。それができたらピッピッピのピの間に2音、つまり4拍に8音入れます。
それができたら4拍に16音、つまり楽譜通りの下から上まで一弓でスラーですね。
これで一通りのト長調の1ポジションの音階練習は終了ですが、全ての練習において上記のポイントを必ずチェックしてください。
5.全ての調をやる
以上のとおりやり方がわかれば、あとは全ての調をやってください。一気に全ての調をやるのはとても大変ですから、一日1〜2つの調をローテーションで回して行うと良いです。
今日紹介した内容は1stポジションを使った音階練習でしたが、全ての調がマスターできたな、と思ったら次は2ndポジションまでで弾ける音階のページである、Scales and Chords of two Octavesに進みます。
それもクリアできたら3rdポジションまでで弾ける音階のページのScales and Chords of Three Octavesに進みます。
音階教本の練習方法まとめ
実際にやってみるとかなり時間もかかるし、神経をとても使ったのではないでしょうか?しかしこれらをしっかりとマスターすると本当に大半の曲は弾けてしてしまいます。
もちろん、この練習は3ポジションまでしか練習しませんので、さらなる高みを目指す方は4ポジション、5ポジションの練習も必要ですし、重音や分散和音、セブシックのような練習も必要になってきます。しかしこれらの練習をすることであなたのバイオリンレベルは格段にレベルアップすることは間違いありません。
モチベーションを保つことができるおすすめ本
一人でずっとこの練習をモチベーションを保ちながらやることはとても難しいです。人間ですから、ある日突然音階練習を辞めたくなる時が来ると思います。そんな時におすすめの本がこちらです。
この本は日本でもトップクラスのオーケストラ、NHK交響楽団でコンサートマスターを務める篠崎史紀さんの著書です。やはり篠崎さんも音階練習の重要性を何度もおっしゃっています。篠崎さん自身も小野アンナ音階教本を使って音階練習だけを10ヶ月半続けたそうです。最難関と言われる東京藝術大学の入学試験でも必ず受験生は音階を演奏します。それぐらいとても大切なことなのです。