この記事はバイオリンを演奏して生計を立てている、とあるバイオリニスト(@violin18media)が自身の経験談を元に作成したものです。
本記事は
という方にむけた記事内容です。
Contents
バイオリンの上達に必要なことは4つ
バイオリンを最速で上達するために必要なことは4つです。以下の4つの方法を熟読して実戦につなげてみてください。
【技術】音階(スケール)練習
音階練習はバイオリンの上達において絶対に避けて通ることはできません。日本最高峰の音楽を学べる大学、東京藝術大学でも試験では必ず音階を弾きますし、バイオリンで生計を立てている筆者も音階をやっていなければ今弾ける大半の曲は弾けていないなと痛感しています。
よくアマチュアのオーケストラなどを教えに行った時や、個人レッスンの時に、
と言われることがありますが、これも全て音階をしっかりと左手に叩き込んでいるからなのです。音楽は基本的に音階の組み合わせでできていますから、初めての曲でも
という具合にすぐ理解し、弾くことができるのです。
音階の練習の方法については私が全ての知識を詰め込んだ記事がありますのでそちらを参考に実践してみてください。
上の記事では小野アンナの音階教本を使用した例をあげていますが、小野アンナを取得した方はカールフレッシュのスケールシステムを使用すると、バイオリンの最難関とも言われるパガニーニまで弾ける技術が身につきます。
【技術】システム構築練習
音階も必須の上達方法ですが、こちらのシステム構築練習もとても大切です。音階で基礎を作り、その上に曲に応用を効かせるためのシステム作りをするのがこのシステム構築練習です。システム構築練習をする際には上達したければ以下の鉄則を必ず守る必要があります。
必ずできるまでやる、できなければできるテンポまで落として、正しい音程で正しいリズムで正確に弾く。できた気にならないように録音・録画して自分の演奏を確認する
システム構築に使える練習方法としては以下のような教材があります。
- セヴシック
- 小野アンナの音階以外のページ
- ドゥニス
以上三つの教材と音階教材をやりながら、副教材としてエチュードをやっていくのが良いでしょう。エチュードの方が音階やシステム構築練習よりも曲になっていますから楽しいのは事実ですが、最短最速で上達したいのであれば、エチュードを重点的にやるよりも音階とシステム構築練習をするのが一番です。
エチュード教本の選び方は以下の記事を参考にしてください。
セヴシック
セヴシックはバイオリンを弾くための大事な全ての技術が網羅されており、全て練習すると10冊以上になります。その中でも特によくやるのはOp.1、Op.8、Op.9ですね。もちろん全て練習することができれば一番良いですが、時間のない方は以下のように、自分にあったセヴシックを選ぶと良いです。
Op.1→初めてセヴシックを始める方
Op.8→ポジション移動を特化させたい方
Op.9→重音を強化させたい方
小野アンナの音階以外のページ
小野アンナの音階のページの練習方法は先ほどの音階の必要性のところで記載しましたが、小野アンナの音階以外のページも、システム構築にとても有効です。しかもセヴシックやドゥニスほど難しすぎないため、音階練習のついでマスターしておくと、セヴシックを弾いた時に挫折するリスクが減ります。
ドゥニス-Dounis
特に左手を強化することのできる教本です。セヴシックをやって余力がある人が手を出すぐらいが良いでしょう。
【継続】諦めずに続ける努力
根性論のように聞こえてしまうかもしれませんが、結論、上記の正しい練習のやり方で、努力を続ければ必ず上達します。
「楽しく弾く」のと「上手くなる」のは違います。楽しく弾きたければ弾けるところだけ弾いて、弾けないところは仲間内でカバーし合うので良いのです。それが楽しく弾くということです。
上手くなりたいのであれば、絶対に鍛錬が必要です。スポーツ選手やオリンピック選手も一緒です。楽しむとは違った厳しいトレーニングを経てオリンピックに出場したりプロになっていくのです。音楽も一緒です。上手くなりたければ厳しいトレーニングの継続です。
楽して簡単になんでも弾けるようになるなんて魔法は残念ながら存在しません。
【表現】作曲家の意図を考え、楽譜を読む。イメージトレーニング
これまでは技術的な面をレクチャーしてきましたが、音楽は結局技術ではなく表現することです。表現とは、作曲家の意図を自分なりに解釈して、自分の言葉で伝えることです。作曲家の意図を考えて、自分だったらどのように表現するかをイメージトレーニングすることが大切です。
これまで上記に書いた技術も結局は自分の表現を実現するため、邪魔しないための技術です。表現ありきの技術であることを忘れてはいけません。
よく新しい曲に取り組む時にCDをいきなり聴く人がいます。もちろんそれも悪くはないのですが、偉大な作曲家が残したものはCDではなく楽譜です。まずはヴァイオリンを置いて、楽譜をしっかりと読みどのように表現したいかイメージトレーニングすることから始めましょう。
・フレーズを理解する
・曲全体をどのように組み立てるか設計をする
・楽譜に書いてある文字の作者の意図を読み取る
・楽譜に書いてある記号の作者の意図を読み取る
・その楽曲を書いた作曲家のその時の心情を理解する
・和声から表現方法を考える
上記のチェックポイントを考えながら楽譜を読んでいくことをおすすめします。楽譜を読んだあとは自分でだったらどのように演奏するかをしっかり組み立てる必要があります。
もし表現を考える上で行き詰まった時は「なぜ?」「どうして?」を自分自身に投げかけることです。
具体的にいうと
「なぜここはこの和音で書かれたのか?」
「なぜ作者はAndanteという表記にしたのか?」
「なぜこの調性を作者は選んだのか?」
「なぜこのリズムなのか?」
「なぜ上昇メロディではなく下がっていく音型にしたのか?」
といった具合です。
その「なぜ?」を自分なりに考えて答えを出して、それをバイオリンを用いて表現する。それが音楽です。
最速で上達したければ継続練習
ここまで読んできた方はお分かりだと思いますが、残念ながらバイオリンは1日で上手になるようなものではありません。しかし上記のように正しい方法で継続すれば必ず上達します。