この記事はバイオリンを演奏して生計を立てている、とあるバイオリニスト(@violin18media)が自身の経験談を元に作成したものです。
という方の疑問にお答えいたします。
Contents
バイオリンの音程は音階練習で決まる
バイオリンの音程は音階練習で身につきます。音階練習によって指に音の並びのパターンを全て覚え込ませればどの調の曲でも弾けるようになります。
演奏の基礎である音階がきちんと弾けなければ、どんな曲もきちんとは弾けません。なんとなくあなたが音程が不安定だな、あそこの音程が定まらないなと思うのも、その曲の調の音階をしっかりとマスターできていないからなのです。
音階の正しいやり方はこちらの記事に詳しく書きましたのでこちらをご覧ください。
今回はこの音階練習をする際に大切な音程を取る際のポイントを5つ紹介していきます。
バイオリンの音程を取る際のポイント
音程を取る際のポイントは5つあります。上記の音階練習の際、音程に気を配る時は特にこの5つのポイントに注意を配る必要があります。
両耳で空間の音を聴く
音程を聞いている時に左耳を顎当てに当てて聞いたりはしていませんか?実はそれ、NG行動なのです。
人の耳は空間になっている音と直接耳に当てて聞いた音では少し音程が変わってしまいます。なぜなら耳を直接当てると骨伝導で体内に響いてしまうからです。しかも左耳を倒して左耳で音程を聞いている風の方は、つまり片耳でしか音程は聴けていません。
顔はしっかりと起こして、両耳で聴くことが正しい音程を捉える上で大切無ことです。
また音は空間に放り出されて空気と溶け合い、初めて音となります。つまり空間で交わった響く音を両耳で捉える、これが「両耳で空間の音を聴く」という作業になります。大変な作業ですがとても大事なことです。
ピアノの音程をしっかりと聞いたことはありますか?実はピアノも押した瞬間の音程とその0.5秒後の音程は少し違うのです。0.5秒後の方がわずかに音程が上がって聞こえます。つまり、ピアノからラをもらう時にピアニストが弾いてすぐバイオリンを弾き出すと違う音程を拾ってしまう可能性があります。必ずピアニストがラを弾いてくれてから1秒ぐらいは待ってから音程をもらいましょう。上手な人が弾くピアノは音程が良いなんて話もありますが、それはこの0.5秒後の音程の上がり方を上手く使ってコントロールしているピアニストだったりします。すごい世界ですよね・・・
しっかりと楽器を鳴らす
実は右手の鳴らし方によっても音程が変わってしまうのをご存知でしょうか?
試しに右手でsul tast(指板の上で薄く弾く)で弾くときと、駒よりで強めに弾いてみた時をチューナーで測ってみてください。音程が変わるのがわかりますか?
具体的に言うとsul tastの時は音程は低くなり、駒よりだと音程は高くなります。
つまり音程を聴く練習をする際には必ず良い音で(ちょうど良い響きのある音で)弾くことが大切であるといえるのです。
ちなみに目安としてはf字孔のfの書き出しの丸の部分で弾くと楽器が一番響くと言われています。鏡をみながら調整してみましょう。
上記の写真の黄色の部分に弓を当てて弾くと良いです。
チューニングを正しく行う
チューニング(調弦)は正しく行う必要があります。慣れてくるとラの音だけなんとなくチューナーで合わせて、残りを2本ずつ弾いてよし合った!弾いてみよう!といったことをしていませんか?
実はその調弦方法、ちゃんとできていないかもしれません。試しにいつも通り調弦した弦をもう一度チューナー(442Hlz)で一本ずつ弾いてみてください。きちんとぴったり真ん中にきましたか?
意外と低かったり、高かったりしたと思います。悲しいですがそれぐらい自分の耳は信用できないと思っていた方が良いです。
チューナーで1本ずつを調弦してぴったり真ん中に合わせてから、2本ずつ弾いてみてチューニングが合っている響きを両耳で聴いて覚えるようにしましょう。
チューナーを使わない
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは厳密にいうと開放弦意外の音にはチューナーを使わないというのが正しいです。
チューナーは平均律といってピアノと同じ鍵盤の音程を測るように作られています。
ですので5度音程といってソ、レ、ラ、ミといった各音程間が5度で、かつ開放弦の場合はチューナーを使うことに効果があります。
しかし左指で押さえた音程に関してはチューナーを使うと平均律音程になりやすく、バイオリンはせっかく純正調で取ることのできる楽器ですので、押さえる音程に関しては自分の耳で聴いて音程を取るべきです。
初心者の方はチューナーを使わなければ何の音かもわかりにくいかと思いますので、その場合はチューナーを使って大まかな音程を取れるようになってから、チューナーを使うのをやめて音程を取る訓練をすることをおすすめします。
音階の前後関係を大切にする
音程は音階の前後関係を考えて取るべきです。
よく「今弾いたラの音は音程合ってますか?」などという生徒さんがいらっしゃいますが、その質問は半分正解で、半分不正解です。なぜならラという大きいくくりで音程が合っているかはお答えすることができますが、音階の中のラとしてはその前後のソからラ、ラからシの音程を聞かなければその音列が美しいか否かを判断し辛いからです。
少し専門的な話になりますが、例えばドレミファソラシドの音階でしたら、シの音は導音といわれる音ですので次のドに向かうために少し高めに取る、といった調整が必要なのです。そのシの音だけをピックアップして「合っていますか?」といってもシの音としては合っているけれども音列として並べた時に綺麗か否かという判断は難しいという話なのです。
しかし難しい話は置いていたとしても単純にその音階を聴いた時に美しい音程になっているかが重要なポイントです。
よく曲を弾いている人で音名は合っているけれども音程が綺麗ではない人もよくみます。そういった方にはこういった密度の高い音程の練習が必要になってきます。
バイオリンの音程の取り方まとめ
バイオリンの音程の取り方って奥が深くて本当に難しいですよね。しかし綺麗な音程で弾くことができた音階は大変美しく、それだけで音楽的に聞こえる不思議な力を持っています。
大変参考になる記事をありがとうございます。
ただひとつ気になる点がありますので質問させていただきます。
「チューニングを正しく行う」の項目で「耳で合わせてもチューナーを使ったらピッタリと真上を指してくれないでしょ、それだけ耳は不正確なのよ」ということを仰っておりますが、
その次で書かれている通り、チューナーは平均律で作られております。
五度の和音が最も美しく響くのは周波数比が整数比になる場合であって、特にG線では平均律で作られたチューナーがピッタリ上を指さないのは当然だと思うのですが、どうなのでしょうか。