この記事はバイオリンを演奏して生計を立てている、とあるバイオリニスト(@violin18media)が自身の経験談を元に初めてプロのオーケストラに初めて行く時に大切なことを伝授します。
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プロオーケストラに初めてエキストラで行く時に大切な10のこと
初めてプロのオーケストラにエキストラで出演するときって緊張しますよね。
などと考えながら初日に挑む人も多いかと思いますが、そんなことよりももっと気を付けなければならないことが10個あります。この記事を読んでぜひ実践してみてください。
私はバイオリン奏者につき、弦楽器奏者寄りの内容となっております。しかし管打楽器奏者の方にも役立つ情報もあります。ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読み進めるにあたり、
と思う内容も中にはあると思いますが、基本的にはそのオーケストラにまた呼ばれたいと思うのであれば、守っておくと無難な10個の行動の紹介です。
時間厳守
これはもういうまでにもないですが、遅刻は絶対NGです。朝寝坊した時点でもうこのオーケストラからは次は呼ばれないと思ったほうが賢明です。一般の会社でも遅刻などは厳しいかと思いますが、オーケストラの世界では特に厳しいです。基本的にエキストラは最低リハーサル開始1時間前には練習場所に到着できるようにしましょう。練習場所に行ったことがない初めての場所ならなおさらもっと早くても悪いことはありません。
ちなみに管楽器の方々などは早めに行って音出しをする方も多く、団員さんで2時間前や3時間前に入られる方もめずらしくありません。
ちなみに不測の事態(電車の遅延、台風、大雪、地震など)が起きた時でも事務所からのリハーサル時間の変更などの連絡がない限り、依頼書通りの時間で始まります。どんなに電車が遅れていても遅刻が許されないのがオーケストラです。たまに電車がどの線も止まっていても全員集まっているなんて日もあります。そんな時にエキストラ1人だけ集合時間にこれなかったら次から呼ばれなくなる可能性が高まります。
また時間や場所を勘違いして遅刻!なんてパターンの方もたまに見かけます。依頼書で時間と場所は何回でもチェックしておきましょう。
挨拶
こちらも社会人の基本中の基本ともいえる挨拶ですが、これもオーケストラの仕事では大変大切なことです。極論、遅刻をせずにリハーサル会場にきて、無事挨拶ができれば新人エキストラとしてのお仕事の大半は終わったともいえます(笑)
すれ違った方には基本的に「おはようございます!」とこちらから声をかけましょう。
と心配なときは目を合わせて軽く会釈程度で大丈夫です。丁寧な方は音出しをやめてあちらから挨拶をしてくれる時もありますので、そのときは遠慮なく「おはようございます」と挨拶しましょう。
初めて行くオーケストラの場合は、首席の方や弦楽器の隣のプルトの方には丁寧に挨拶できるとより良いです。勇気を出してすれ違った時や席についた時などに
と言えると無難です。終わった後は「お疲れ様です」と一声かけて帰りましょう。
たまに挨拶をしてそっけない方や、無視する人など稀にいます。これはどこのオーケストラでもいます(小声)。そのときは「あれ、私なにかしたのかな…」と気にするすることはありません。たまにエキストラには絶対挨拶を返さない頑固な団員さんなどもいらっしゃるので、そういう人間なんだなと諦めて気にしないようにしましょう!
楽器ケースを置く場所
気をつけたいのは、オーケストラが何度もリハーサルや本番をしている会場の場合、団員さんの定位置があったりします。この場合なにも知らずに団員さんの定位置に楽器ケースを置いてしまうと後々クレームになりかねません。もし可能であれば近くに楽器を置いている人などに
など聴けるとより安心です。
衣装
リハーサルの時の格好は私服で大丈夫なのですが、本番の時は衣装の持参が必要です。ちなみにリハーサルの時の私服も、最初はサンダルやヨレヨレのTシャツや穴あきジーパンなどはやめておきましょう。
基本的に本番衣装は依頼書などに上:黒、下:黒や、燕尾、タキシード などといった表記で書かれてあります。男性の場合は燕尾やタキシード など指定のものを持っていけば大丈夫です。女性はたまにオーケストラによって細かく指定されていたりするので、心配なら隣に座った方などに聴いてみると安心です。ニューイヤーコンサートなど華やかなコンサートのときはカラードレスもあります。
女性の格好としては黒上は綿NG、ノースリーブはダメなところもあるので袖があると無難です。またシルバーやビーズなどの飾りが全く付いていないものを選んだ方が安全です。たまにレクイエムや宗教曲のときは長袖がふさわしい場合があるので、初回は7分袖以上にしておくと無難です。
下はロングスカートでも黒パンツでも基本的にOKです。スカートの場合はこのようにしっかりと足下まで隠れる物で、素材がシフォンだと尚安心です。
以前黒パンツでリクルートスーツ系のパンツを履いていた子がお尻のところにポケットがあるのはダメと言われていたのを見かけたことがあるため、パンツの場合は何のポケットもない舞台用の黒パンツだとなお安心です。ストッキングは黒と肌色オーケストラによってオーソドックスが違うため、心配であれば両方持っていき着替えの時に皆さんが履かれている率が高い方を履くと無難です。
持ち物
絶対に忘れてならないのは楽器と鉛筆、消しゴムです。鉛筆は4Bなど柔らかいものを。オーケストラの楽譜はよく消したり書いたりするため、柔らかめの物でないと後が残りやすいため。それに濃い方が見やすいです。硬くて薄いHBなどはNGです。消しゴムは小さすぎずちゃんと消せる適度な大きさのものを用意します。
楽譜はオーケストラが用意してくれているので必要ありません。たまにエキストラの登録用紙を初回に渡される場合があります。その時氏名と住所、たまに給与振込先の口座番号などを書く欄もあったりしますので、口座番号などをわかるようにしていくと無難です。
楽譜の書き込み
書き込みは人によって特徴なども様々です。管楽器の場合は譜面台が一人一つあるため、そこまできにしすぎることもありませんが、弦楽器の場合は二人で1つの譜面台を見るため少し配慮が必要です。
例えば指番号を書き込んだり、むやみやたらに自分が注意したいところに◯を書き込んだりするのもNGです。もしどうしても指番号を書きたい場合などは、
と伺ってからオッケーだったら音符の下に小さめに書くことをお勧めします。あと指揮者の指示も「少し早くなる」など文章で書くことよりも「→」など記号で書くことの方が多いです。書き方がわからない時は前の人の様子を見るなどが必要です。また弓順の書き込みもリハーサルが早く進む時は書き込む時間が無かったりもします。気付いたら書けるようにできるといいです。
譜めくり
譜めくりでクビになるエキストラも見かけたことがあります。すごく静かなところなのになにも配慮せず、バサァーっとめくってしまったり、いちいちめくる時にうるさいなど、基本的にうるさいというクレームがおおいです。
また、次のページの頭を弾いてからめくるという暗黙の了解もあったりします。それを知らずにシーンとなる瞬間に一人だけバサバサーっとめくってしまったり。譜めくりは前の方がめくる時と同じ時に、スピーディに静かにめくれるとベストです。
袖、舞台での音出し
基本的に自分のコンディションを整えるための基礎練習や音出しなどを自由にしてもらって構いません。
一番嫌われてしまうのは、とても大きな音でコンチェルトとかをバリバリに弾く行為。うるせーよなんて言われかねません。基本的には必要以上に大きい音は避けましょう。
楽屋での過ごし方
楽屋での場所取りは基本的に目次3の【ケースを置くところ】で説明した通り、定位置があるかもしれないのである程度様子をみて空いているところに座ると無難です。
中でもドアをあけて目の前の席や、机がない椅子だけの席は不人気になりやすいのでその辺りを狙うと無難です。また意外と時計が見える位置を定位置にしている人も多いようです。
以前、団員さんの定位置と知らずに荷物を置いていたエキストラの荷物がゴミ箱の上に置かれていたなんて話も聞いたことがあります。その行為自体人としてどうかと私は思いますが、どんなオーケストラ(会社)にも様々な人がいるのも事実です。
休憩の時は皆さんご飯を持ってきたり買ってきたり、食べにいったりなど様々。基本的に本番始まる5分〜10分前には袖にいられるようにすればどこに行っても問題はありません。なお、意外と盲点なNG行動が楽屋での携帯の充電行為。基本的にエキストラが携帯を楽屋でコンセントを使って充電すると、団員さんに影で「あのエキストラが…」と言われるパターンが多いです。充電ごときでそんなぐちぐちいうオーケストラこっちから願い下げじゃ!という人は胸を張って充電しましょう!笑
演奏
さて、ここまで色々と書いてきましたが、なにより演奏をするのがオーケストラのお仕事です。オーケストラのリハーサルまでにできる準備は全てやりましょう。
スコアも熟読して他のパートもよくわかるよう覚えます。自分のパートで難しいパッセージなどは楽譜をみらずとも弾けるぐらいに準備しておきましょう。
プロのオーケストラはアマチュアや学生のオーケストラと違ってリハーサル時間が短いです。50分のシンフォニーを30分のリハーサルで終わったなんて話もザラにあります。短いリハーサルでも本番を迎えられるようにきっちりと準備しておきましょう。
そしていざ初日リハーサル。誰でも絶対緊張すると思います。私もそうでした。オーケストラでは自分がどれだけ弾けるかよりも、周りの音を聴きながら全体でどんな音楽になっているかを感じることが大切です。
またオーケストラによって好まれる傾向も様々です。音量も結構出して欲しいと思う団員さんが多いオケもあれば、音色重視のオケもあります。また指揮者によっても様々なのでそこは様子を見ながら対応していく必要があります。
結論:プロオケにエキストラで行く時に本当に大切なこと
散々ここまで書いてきましたが、気にしすぎても良い音楽はできません!あとは自分を信じて、楽しんで、自分の音楽を周りの団員さんとできることに喜びを噛みしめながら頑張ることが何より大切です。